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須磨の史跡・文化遺産(2)敦盛塚

●敦盛塚

【所在地】神戸市須磨区一ノ谷町5丁目須磨浦公園
【アクセス】山陽電車「須磨浦公園」駅下車徒歩5分

須磨浦公園附近は、1184年(寿永3年)2月7日に「源平一の谷の合戦」の舞台になった場所の一つです。この一の谷での熊谷次郎直実平敦盛との出会いはあまりにも有名ですが、おさらい程度にもう一度。



一の谷の合戦が終わろうとする中、源氏の武将は何とか功名を立てようと、死に物狂いで名だたる平家の武将を探していた。熊谷次郎直実もその中におり、平家の名のある武将を探していた。

一方、平家の武将たちはこの頃、岸から少し沖にはなれた船へと皆で向かっていた。平敦盛も馬を海に入れ、沖の船を目指していた。

その時、背後から呼び止めるものがいた。熊谷直実である。熊谷は「敵に後ろを見せて逃げるのは卑怯、戻れ」と敦盛に言った。その言葉を聞いた敦盛は馬首を返し、熊谷との一騎打ちに応じた。

しかし若干16歳の敦盛は熊谷にあっという間にねじ伏せられた。熊谷は首を切ろうとして、兜をあげてみるとその顔は自分の息子と同じくらい。

敦盛は名を名乗らず「唯首をとれ、自分は名のある公達だ、首をとって手柄にせよ」の一点張りだった。敦盛の気品のある立ち振る舞いに、この少年は名のある若殿かと思いを巡らせた。

そして熊谷は一人を逃しても戦局には関係あるまい、子のある自分にはこの公達の父の悲しさもわかるからと、逃がそうとした。まさにその時、土肥・梶原の軍勢が来てしまった。

もはやこれまでと思った熊谷は自分が今討ち取ったほうが弔いもできるし、他の者の手にかかるのならと泣く泣くその公達の首をとった。

その後、熊谷が首を包もうとしたとき、一本の笛を見つけた。合戦の前日にも心にしみいる横笛の音色が響いていたことを思い出し、昨夜の笛の音はこの少年であったかと感心する。熊谷が本陣に戻ってこの首を見せると、居合わせた人々はこれが平敦盛であると涙ぐんだ。熊谷は敦盛を弔うために、後に法然上人の下で出家した。


いやあ、何度読んでもじ〜んときてしまうお話です。
このお話が平家物語によって広く知られる事となり、後に参勤交代で訪れた多くの大名たちが敦盛塚に香花を手向けたと言われています。

敦盛塚は高さ約3.5メートルもある大きな五輪の石塔。敦盛を供養するために建てられた、という伝承から「敦盛塚」と呼ばれていますが、北条貞時(1272−1311)が平家一門を供養するために1286年(弘安9年)に建立し、「あつめ塚」と言われていたのが「あつもり塚」と呼ばれるようになったとの説もあるそうです。

いずれにせよ、この石塔の前が古来の山陽道、近世の西国街道だったため、多くの旅人や往来する人々がこの場所を訪れ、香花をささげてきたそうです。大正時代には、子どもの病気の神様としてお参りに訪れる人が絶えず、お礼参りには青葉の笛になぞらえて、穴をあけた竹に白紙を巻き、水引をかけたものを奉納したと伝えられています。

心を打つ敦盛と直実のエピソードをかみしめながら、敦盛塚を訪ねてみませんか。

須磨の史跡・文化遺産(1)松風村雨堂



●松風村雨堂
【住所】神戸市須磨区離宮前町1
【アクセス】山陽須磨寺駅から東へ徒歩10分・市バス村雨堂下車)
 
 平安時代の歌人、在原行平(818−893)は、平城天皇(774−824)の孫で、六歌仙在原業平(825−880)の兄にあたる人。その行平と村娘「松風」「村雨」の悲恋物語が残されているのが、この松風村雨堂です。

 行平は光孝天皇(830−887)の怒りを買い、須磨に配流されてしばらくわび住まいをしていた。ある日潮汲みにきた多井畑の村長のむすめ「もしほ」と「こふじ」に出会い、「松風」「村雨」と名づけ愛した。三年の歳月が経ち、都に帰る行平は、小倉百人一首で有名な

 立ち別れ いなばの山の峰に生ふる
 まつとし聞かば いま帰り来む

の歌を残し烏帽子(えぼし)、狩衣(かりぎぬ)をかたわらの松にかけ姉妹たちへの形見とした。二人の姉妹はたいそう悲しんで庵を建て、観世音菩薩を信仰し、行平の無事を祈っていたが、後、多井畑へ帰り、わびしく世を去った。

実は歴史的には行平が須磨に流罪にあったという事実は未だ確認できてはいないらしいのですが、この悲恋「伝説」は後に源氏物語田楽世阿弥(1363?−1443?)の等にも取り上げられ広く伝えられたそうです。松風、村雨の二人が行平の後を追わず、二人で行平の無事を祈ったといういじらしさに、当時の人々が心を打たれていた、ということなのでしょうか。それにしても「まつかぜ」「むらさめ」は素敵な名前です。

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  • NPO法人しゃらく しゃらく旅倶楽部担当
  • 須磨をこよなく愛するよそ者が、真の須磨人(すまびと)を目指して日々綴っていく須磨のウンチク。須磨好きの方必見です。
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